神
の
盾
と
預
言
の
樹

プロローグ

イベント開催期間 第1話 2016.8.3(水)~8.17(水)

―ある日、僕は夢を見た。

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暗闇の中、何処からともなく微かな獣の呻き声が聞こえてくる。その声に近づいていくと、呻きはより一層苦悶に満ちていくようだった。なぜか聞き覚えがあるその呻きの方へ、さらに歩を進めていくと、突如、小さな光が現れた。その光が徐々に闇を飲み込み、やがて目の前の闇がすっかり晴れ渡ると、今度は別の声が、僕の耳元で囁いた。「消えていく命をどうか助けてください…その命こそ、この世界に光を持たらすでしょう…」― 夢は、そこで終わった。目覚めた後も、耳元で囁かれた言葉が頭から離れなかった。妙に、生々しい夢だった。僕はふと、昼食時にでもこの夢の話を神の盾隊員たちに話してみようと思い立った。冗談まじりに話すことで、この生々しい夢も声も頭の中から追い払おうと思ったのだ。しかし、話が終わっても、隊員たちの誰一人として、この話を笑うものはいなかった。それどころか、とある隊員が意外なことを口にした。「お、俺も、その夢…見たぞ…」彼が躊躇いがちに告げると、他の隊員たちまでが口々に「自分も同じ夢を見た」と言い出したのだ。結果、昼食の場に居合わせた隊員たちのすべてが、『同じ夢』を見て『同じ言葉』を聞いていた。互いに奇妙な感覚に見舞われながらも、誰からともなく「これは神の啓示に違いない」と言い出し、皆でその意味を理解しようと努めたが、同じ夢の中の言葉だという以外に手がかりもなく、途方に暮れるしかなかった。こうして、隊員たちの誰もが、夢と言葉に「神の啓示」を感じながらも、時間が経つにつれ、夢を見たことはおろか、言葉の意味を気にすることさえも忘れかけていった。しかし、それからほどなくして、忘れかけていた夢と言葉の「意味」を示す『道標』が、僕らの前に現実となって姿を現したのだ。